問5 2023年9月基礎
問5 問題文
厚生年金保険法における離婚時の年金分割に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、「離婚等をした場合における特例」による標準報酬の改定を合意分割といい、「被扶養配偶者である期間についての特例」による標準報酬の改定を3号分割という。
1) 老齢厚生年金を受給している者について合意分割の請求が行われたときは、合意分割による改定または決定後の標準報酬を当該年金額の計算の基礎として再計算し、当該合意分割の請求のあった日の属する月の翌月分から年金額が改定される。
2) 3号分割の対象期間は、2008年4月1日以後の国民年金の第3号被保険者であった期間であり、原則として、その間の相手方の厚生年金保険の保険料納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)は2分の1の割合で分割される。
3) 離婚の相手方から分割を受けた厚生年金保険の保険料納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)に係る期間は、分割を受けた者が老齢厚生年金の支給を受けるために必要となる受給資格期間に算入される。
4) 合意分割の請求が行われた場合、婚姻期間に3号分割の対象となる期間が含まれるときは、原則として、合意分割と同時に3号分割の請求があったものとみなされる。
問5 解答・解説
離婚による財産分与に関する問題です。
1) は、適切。合意分割とは、離婚した場合に、双方の合意により、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を元夫婦で分割することで、老齢厚生年金等の年金額は分割後の当事者それぞれの納付記録に基づいて再計算され、合意分割の請求月の翌月分から改定されます。
2) は、適切。3号分割とは、国民年金の第3号被保険者だった者が請求することで、離婚した相手方との婚姻期間中で、2018(平成20)年4月1日以後の第3号被保険者期間における、相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を、2分の1ずつ分割できる制度です。
合意分割と異なり、3号分割では当事者双方の合意が必要ないのが特徴です。
3) は、不適切。離婚時に分割された厚生年金の保険料納付期間は、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給資格期間には算入されません。
つまり、離婚して年金分割を受けても、国民年金の未納期間がある人の場合、10年(120月)の受給資格期間(保険料納付済期間や免除期間等の合計)を満たしていなければ、65歳になっても年金は受け取れません。
4) は、適切。合意分割の請求時、婚姻期間に3号分割の対象期間が含まれる場合、原則として、合意分割と同時に3号分割の請求があったものとみなされます。このため、まず3号分割の対象期間を2分の1に分割し、合意分割の対象期間を分割した後に、全体として合意分割の割合になるように調整されます。
よって正解は、3
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