問21 2023年9月基礎
問21 問題文
資本資産評価モデル(CAPM)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、β(ベータ)値は、すべて1より大きいものとする。
1) β値と安全資産利子率がともに一定である場合、市場全体の期待収益率が2倍になると、資本資産評価モデル(CAPM)によるポートフォリオの期待収益率は2倍になる。
2) 資本資産評価モデル(CAPM)におけるβ値は、市場全体の動向と資産の動向との相関関係を示し、システマティック・リスクを表す指標である。
3) 資本資産評価モデル(CAPM)により算出されるポートフォリオの期待収益率を上回った超過収益率を測ることによりリスク調整後収益率を測定する手法を、ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)という。
4) 資本資産評価モデル(CAPM)によれば、同じ市場を対象とする2つのポートフォリオを比較した場合、β値が大きいポートフォリオのほうが、市場全体の変動の影響をより大きく受けるため、価格変動は大きくなる。
問21 解答・解説
CAPM(資本資産評価モデル)に関する問題です。
資本資産評価モデル(CAPM)とは、市場が均衡していれば、リスクを負った分、それに見合うリターンを得られることを明らかにした理論で、数式は以下の通りです。
ポートフォリオの期待収益率=安全資産利子率+(市場全体の期待収益率−安全資産利子率)×β
1) は、不適切。ポートフォリオの期待収益率=安全資産利子率+(市場全体の期待収益率−安全資産利子率)×βですので、市場の期待収益率と安全資産利子率がともに2倍になると、β(ベータ)が一定であれば、ポートフォリオの期待収益率も2倍になると考えられます。
※ポートフォリオの期待収益率×2=安全資産利子率×2+(市場全体の期待収益率×2−安全資産利子率×2)×β
2) は、適切。ポートフォリオのリスクにはアンシステマティックリスク(非市場リスク)とシステマティックリスク(市場リスク)がありますが、β(ベータ)値は市場ポートフォリオの収益率が1%変化したとき、個別証券の収益率が何%変化したかを表しており、個別株価と市場の連動性を示す、システマティックリスクの指標です。
なお、最適ポートフォリオを組んだとしても、システマティックリスク(市場リスク)をゼロには出来ません。つまり、ほぼ全ての証券に影響を及ぼすような価格変動要因については、分散投資でも消去できないわけです。
3) は、適切。ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)は、CAPM(資本資産評価モデル)で算出される超過収益率を上回った部分(アルファ(α))を測るもので、市場で形成される証券価格の歪みを表す尺度として利用されます。
ジェンセンのアルファ=ポートフォリオの収益率−(安全資産利子率+β×(市場全体の収益率−安全資産利子率))
4) は、適切。β(ベータ)値は市場ポートフォリオの収益率が1%変化したとき、個別証券の収益率が何%変化したかを表すため、βが高いほど、そのポートフォリオの価格変動は市場全体の価格変動に比べて大きくなるため、リスクが高いといえます。
よって正解は、1
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