問51 2023年9月応用
問51 問題文
Mさんは、Aさんに対して、在職老齢年金と在職定時改定・退職改定について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄(1)〜(6)に入る最も適切な数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。
〈在職老齢年金〉
I 「65 歳以上の厚生年金保険の被保険者に支給される老齢厚生年金は、その受給権者の老齢厚生年金の報酬比例部分の額に基づく基本月額と総報酬月額相当額との合計額が( 1 )万円(支給停止調整額、2023 年度価額)を超える場合、報酬比例部分の額の一部または全部が支給停止となります。総報酬月額相当額とは、受給権者である被保険者の標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12 で除して得た額との合計額です。
標準報酬月額は、7月1日において厚生年金保険の被保険者である場合、原則として、定時決定で決まり、毎年□□□月から( 2 )月までの間に受けた報酬月額の平均を、厚生年金保険法の標準報酬月額等級表に当てはめて、その年の9月から翌年8月までの標準報酬月額とします。標準賞与額は、年3回以下で支給される賞与額の1,000 円未満を切り捨てた金額です。厚生年金保険の標準賞与額の上限は、1月につき( 3 )万円です。
老齢厚生年金は、その支給を繰り下げることによって年金額を増額することができ、Aさんが70 歳到達月に繰下げ支給の申出をした場合の増額率は( 4 )%になります。ただし、繰下げ待機期間中に在職している場合、在職により支給停止される額は増額の対象となりません」
〈在職定時改定・退職改定〉
II 「65 歳以上70 歳未満の老齢厚生年金の受給権者が、基準日において厚生年金保険の被保険者である場合、毎年の基準日が属する月前の被保険者期間を算入して年金額を再計算し、基準日の属する月の翌月である( 5 )月から年金額が改定されます。これを『在職定時改定』といいます。また、厚生年金保険の被保険者である受給権者が、退職により被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者とならずに被保険者の資格の喪失日から□□□月が経過した場合、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を算入して年金額を再計算し、退職日から起算して( 6 )月を経過した日の属する月から年金額が改定されます。これを、『退職改定』といいます」
問51 解答・解説
在職老齢年金・在職定時改定・退職改定に関する問題です。
〈在職老齢年金〉
I 年金支給開始年齢に到達した後も、厚生年金の被保険者として勤務する場合には、在職老齢年金の仕組みにより、総報酬月額相当額と基本月額の合計が支給停止調整開始額(2023年度価額48万円)を超えると、年金の一部または全部が支給停止となります。
※以前は支給停止調整開始額は65歳未満では28万円、65歳以後では47万円とされていましたが、2022年4月より一律47万円に緩和され、2023年4月から48万円に引き上げられました。
また、厚生年金保険や健康保険の標準報酬月額は、原則として毎年4月〜6月の報酬月額に基づき決定(定時決定)され、著しい変動がない限り、その年の9月から翌年8月までの各月の標準報酬月額となります(このため、3〜6月にかけてはあまり残業しない方が良いと言われる理由です)。さらに、厚生年金保険や健康保険の標準賞与額は、実際に支給された賞与額から1,000円未満を切り捨てた額が標準賞与額となり、賞与が支給される月毎に決定され、その上限は厚生年金では1月につき150万円、健康保険では年度の累計額573万円です。
支給繰下げをした場合、年金は1カ月当たり0.7%増額されます。
65歳からの年金を、5年(60月)繰下げて70歳から受給する場合、繰下げによる増額率=5年×12月×0.7%=42% となります。
以前は、繰り下げる上限年齢は70歳で増額率は最大42%でしたが、2022年4月以降は上限年齢が75歳となり、増額率は最大84.0%まで引き上げられています。
なお、在職中の場合、増額対象となるのは在職老齢年金の仕組みによる支給停止部分を除いた額(調整後の額)です。
〈在職定時改定・退職改定〉
II 65歳になって老齢厚生年金の受給権を得ても厚生年金の被保険者として勤務する場合でも、2022年4月以降は、毎年9月1日を基準日として翌月10月分から年金額が定時改定されます(在職定時改定)。
以前は退職時か70歳になって厚生年金の被保険者資格を喪失したときまで年金額は改定されず、高齢期の標準報酬月額が年金に反映されるには、退職や70歳まで待つといったタイムラグがありました。
また、厚生年金をもらいながら勤務していた被保険者が退職した際、その時点での加入期間や支払った保険料に基づいて年金額を改定(退職改定)することになりますが、資格喪失日(退職日の翌日)から1ヶ月経過した時点で退職改定の対象となり、退職日から1ヶ月後の月の支給分から年金額が改定されます。
以上により正解は、(1)48(万円) (2)6(月) (3)150(万円) (4)42(%)
(5)10(月) (6)1(月)
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