問55 2023年9月応用

問55 問題文と解答・解説

問55 問題文

Mさんは、Aさんに対して、投資信託のパフォーマンス評価および収益率について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄(1)〜(6)に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

〈パフォーマンス評価〉
I 「主に国内株式を組み入れた投資信託の収益率が10%であるときに、東証株価指数(TOPIX)が15%上昇していた場合、その運用が必ずしも良好であったとはいえません。このように投資信託のパフォーマンス評価をする際に、比較対象となる指標を一般に( 1 )と呼びます。
投資信託のパフォーマンスは、単に収益率が高ければよいということではありません。高い収益率は、高いリスクをとった結果であるかもしれないからです。ポートフォリオ運用において、( 1 )の収益率とポートフォリオの収益率との乖離度合いは、トラッキングエラーで表されます。トラッキングエラーは、ポートフォリオの収益率と( 1 )の収益率との差(超過収益率)の( 2 )であり、この数値が大きいほど、ポートフォリオの収益率の変動が( 1 )の収益率から乖離していたことを表します。
リスク調整後収益率の1つである( 3 )・レシオは、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、ポートフォリオの収益率の( 2 )で除して求めます。また、( 4 )・レシオは、( 1 )の収益率に対するポートフォリオの超過収益率をトラッキングエラーで除したものにより、ポートフォリオの運用成果を評価する手法であり、主にアクティブ運用の成果を測る際に用いられます」

〈収益率〉
II 「収益率の測定方法には、さまざまな概念がありますが、代表的なものとして( 5 )加重収益率と□□□加重収益率があります。( 5 )加重収益率は、ポートフォリオへの資金の流入・流出を含めた収益率であるため、投資するタイミングの巧拙を含めたポートフォリオ全体のパフォーマンス評価に適しているといわれます。一方、□□□加重収益率は、ポートフォリオへの資金の流入・流出の影響を取り除いた収益率であるため、資金の流入・流出をコントロールできない投資信託等のファンドマネジャーのパフォーマンス評価に適しているといわれます。
仮に、年初の時価総額が10億円である投資信託において、1年目の収益率(年率)が10%となり、1年目の年末に資金が5億円追加されて、2年目の収益率(年率)が12.5%であった場合、時間加重収益率(年率)は( 6 )%となります」

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問55 解答・解説

ポートフォリオ運用に関する問題です。

〈パフォーマンス評価〉
I 市場全体の動きを示す東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価等の株価指数は、多くの投資信託やETFの投資評価の基準となるベンチマークとして利用されています。
また、トラッキング・エラーとは、ベンチマークに対するポートフォリオのリターンのかい離を測るリスク尺度で、双方のリターンの差異の標準偏差で測定します。
トラッキング・エラーの数値が大きいほど、ポートフォリオの動きがベンチマークから乖離していたことを示し、ゼロに近いほどベンチマークと連動性が高いことになります。

シャープ・レシオ=(ポートフォリオの収益率−安全資産利子率)÷標準偏差 ですが、シャープ・レシオは、標準偏差で測ったリスク1単位に対して、超過収益率がどれだけあったかを示すものですから、値が大きいほど超過収益率が高い=優れた金融商品ということです。
これに対し、インフォメーション・レシオ(情報比)は、ベンチマークに対するポートフォリオの超過収益率をトラッキングエラー(ベンチマークのリスクに対するポートフォリオのリスクのかい離)で除して算出します(リスクに見合った超過リターンが得られたかを検証できるため、主にアクティブ・ファンドの運用成績を測る場合に用いられます(数値が大きいほど超過収益が大きい)。)。

〈収益率〉
II ポートフォリオの収益率を含み益も考慮した時価算出する方法には、金額加重収益率と時間加重収益率があります。
金額加重収益率は評価期間におけるポートフォリオへの資金の流入・流出を含めた収益率で、内部収益率(IRR)ともいいます。

これに対し、時間加重収益率は、運用機関自身がコントロールできない運用期間中における元本の流出入(掛金の増減や退職金の給付等)の影響を排除し、運用機関の運用能力を評価するための投資収益率の算出方法です。
算出方法はいくつかありますが、最も精度が高いのが厳密法で、計算の考え方は以下の通りです。
まず、複利計算の計算式は、元金×(1+利率÷100)N乗 です(N=投資期間)。
よって、N年後(本問では第2期末)の投資結果は、以下の通りで表せます。
元金×(1+時間加重収益率÷100)N乗=元本×(第1期末総額/当初総額)×(第2期末総額/第1期末総額+第1期資金流入額)×(第3期末総額/第2期末総額+第2期資金流入額)×…

つまり、元本に対してある期間ごとの資金流入額も踏まえた収益率をすべて反映させた結果が、時間加重収益率で複利計算した結果となるわけです。

よって本問の場合、1年目の収益率10%→第1期末総額10億円×110%=11億円、2年目の収益率12.5%→第2期末総額(11億円+5億円)×112.5%=18億円となるため、
10億円×(1+時間加重収益率÷100)2乗=10億円×(11億円/10億円)×{18億円/(11億円+5億円)}
10億円×(1+時間加重収益率÷100)2乗=12.375億円
(1+時間加重収益率÷100)2乗=1.2735
1+時間加重収益率÷100=1.11242…
時間加重収益率=(1.11242…−1)×100
       =11.242… → 11.24%(小数点以下第3位四捨五入)

以上により正解は、(1)ベンチマーク (2)標準偏差 (3)シャープ(・レシオ)
(4)インフォメーション(・レシオ) (5)金額(加重収益率) (6)11.24(%)

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