問62 2023年9月応用
問62 問題文
Aさんが、相続した家屋を取り壊し、以下の〈条件〉でその敷地である甲土地を譲渡した場合、次の(1)〜(3)に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は100円未満を切り捨てて円単位とすること。なお、譲渡所得以外の所得や所得控除等は考慮しないものとする。
(1)「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」の適用を受けた場合の課税長期譲渡所得金額はいくらか。
(2)「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」(相続税の取得費加算の特例)の適用を受けた場合の課税長期譲渡所得金額はいくらか。
(3)上記(1)で求めた金額と上記(2)で求めた金額のいずれか低い金額に係る所得税額、復興特別所得税額および住民税額の合計額はいくらか。
〈条件〉
〈譲渡資産(甲土地)に関する資料〉
・譲渡資産の譲渡価額:4,900万円
・譲渡資産の所有期間:45年
・譲渡資産の取得費 :不明
・譲渡費用 :900万円(家屋の取壊し費用、仲介手数料等)
〈父親の相続に関する資料〉
・相続人 :Aさん(ほかに相続人はいない)
・甲土地の相続税評価額 :3,600万円
(甲土地以外に相続した土地等はない)
・Aさんの相続税の課税価格:7,900万円
(債務控除100万円を控除した後の金額。相続時精算課税の適用はない)
・Aさんが納付した相続税額:660万円
(贈与税額控除、相次相続控除は受けていない)
問62 解答・解説
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除・取得費加算の特例後の所得税・住民税に関する問題です。
土地や建物の譲渡所得は、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超えると長期譲渡所得となり、課税長期譲渡所得=譲渡収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除 です。
本問では、空き家の譲渡所得の3,000万円を適用した場合を計算するため、上記の計算式の「特別控除」部分は3,000万円となります。
また、取得費が不明な場合には、概算取得費として譲渡価額の5%とすることができます。
本問では、土地と建物の売却価格の合計は、4,900万円ですので、4,900万円の5%を概算取得費とすることができます。
よって、
課税長期譲渡所得=4,900万円−(4,900万円×5%+900万円)−3,000万円
=4,900万円−(245万円+900万円)−3,000万円
=755万円
次に、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例は、相続で取得した土地・建物や株式等を、相続税の申告期限の翌日以後3年以内(相続開始後3年10ヶ月以内)に売却すると、納付した相続税のうち一定額を取得費に加算できる特例で、加算額の計算式は以下の通り。
取得費加算する相続税額=その人の相続税額×{譲渡資産の相続税評価額/(相続税の課税価格+債務控除額)}
※譲渡資産に小規模宅地の特例を適用していた場合には、特例適用後の評価額となります。
よって本問の場合は以下の通り。
取得費加算する相続税額=660万円×{3,600万円/(7,900万円+100万円)}=297万円
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除は、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例(納付した相続税のうち一定額を取得費に加算)と併用できませんので、取得費加算した場合の課税長期譲渡所得は以下の通り。
課税長期譲渡所得==4,900万円−(4,900万円×5%+900万円+297万円)=3,458万円
従って、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用した方が低くなりますので、こちらで税額を算出します。
長期譲渡所得は所得税15%・住民税5%であり、復興特別所得税は、その年の所得税額の2.1%分です。
●所得税
755万円×15%=113.25万円
●復興特別所得税
113.25万円×2.1%=23,782.5円
●所得税・復興特別所得税の合計額
113.25万円+23,782.5円=1,156,282.5円→1,156,200円(100円未満切捨て)
●住民税額
755万円×5%=37.75万円
●所得税・復興特別所得税・住民税の合計額
1,156,200円+37.75万円=1,533,700円
以上により正解は、(1)7,550,000(円) (2)34,580,000(円) (3)1,533,700(円)
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