問61 2023年9月応用
問61 問題文
甲土地上に耐火建築物を建築する場合、次の(1)および(2)に答えなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉はu表示とすること。なお、記載のない事項については考慮
しないものとする。
(1)建蔽率の上限となる建築面積はいくらか。
(2)容積率の上限となる延べ面積はいくらか。
問61 解答・解説
建築面積と延べ面積の上限に関する問題です。
(1)防火規制がそれぞれ異なる土地にまたがっている場合、もっとも厳しい規制が課されますので、この場合は全て防火地域扱いとなります。
防火地域・準防火地域で耐火建築物を建築する場合、10%の建ぺい率緩和を受けられるため、第一種中高層住居専用地域部分と第一種低層住居専用地域部分の各建ぺい率に10%ずつ加算されます。
建築面積の上限の計算式は、以下のとおりです。
建築面積の上限=土地の面積×土地の建ぺい率
また、建築物の敷地が、建ぺい率の異なる2つ以上の地域にわたる場合、敷地全体の最大建築面積は、「各地域の面積×各建ぺい率」の合計となります。
ただし、甲土地の川側の前面道路幅は3mで、「建築基準法第42条第2項により特定行政庁の指定を受けた道路」とありますが、これは都市計画区域にある幅4m未満の道で、建築基準法上の道路とみなしているもの(2項道路)です。
2項道路の中心線から2m後退した線が、道路との境界線とみなされるため、みなし道路境界線と道までの部分(セットバック部分)は、容積率や建ぺい率の計算の際、敷地面積に算入されません(反対側がガケ地や川等のその方向に後退できない場合は、境界線から4m後退)。
本問の場合、3m公道の反対側は川でその方向に後退できないため、セットバックで後退する距離は、反対側の道路境界線から4m後退した線となります。
つまり、3m公道に加えて、現在の道路境界線から1m後退させる必要があります。
よって、
第一種中高層住居専用地域部分の面積=224u−(後退距離1m×間口14m)=210u
第一種低層住居専用地域部分の面積=128u−(後退距離1m×間口8m)=120u
よって(1)甲土地の建築面積の上限は、
第一種中高層住居専用地域部分:210u×(60%+10%)=147u
第一種低層住居専用地域部分:120u×(50%+10%)=72u
土地全体の上限:147u+72u=219u
(2)延べ面積の上限=土地面積×その土地の容積率 ですが、建ぺい率同様、建築物の敷地が、容積率の異なる2つ以上の地域にわたる場合、敷地全体の延べ面積の上限は、「各地域の面積×各容積率」の合計となります。
ただし、容積率は、前面道路の幅が12m未満の場合に、用途地域によって制限されます。
住居系用途地域の場合……前面道路幅×4/10
その他の用途地域の場合…前面道路幅×6/10
この計算式結果と指定容積率を比べて、小さいほうが容積率の上限です。
問題文では道路が3m公道+1m後退距離=4mと6m公道の2つありますが、このような場合は広いほうの道路幅を前面道路とすることができます。
よって第一種中高層住居専用地域部分の容積率は、前面道路が6mですので、
6m×4/10=240% < 指定容積率300%。よって第一種中高層住居専用地域部分の容積率は240%。
次に第一種低層住居専用地域部分の容積率は、前面道路が6mですので、
6m×4/10=240% > 指定容積率100%。よって第一種低層住居専用地域部分の容積率は100%。
よって(2)延べ面積の上限は、
第一種中高層住居専用地域部分:210u×240%=504u
第一種低層住居専用地域部分:120u×100%=120u
土地全体の上限:504u+120u=624u
以上により正解は、(1)219(u) (2)624(u)
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