問53 2024年1月応用

問53 問題文と解答・解説

問53 問題文

仮に、Aさんが労働者災害補償保険(以下、「労災保険」という)に特別加入しており、現時点(2024年1月28日)において業務災害により労働者災害補償保険法におけ
る障害等級1級の障害補償年金の受給権を取得し、かつ、公的年金制度における障害等級1級の障害厚生年金および障害基礎年金の受給権を取得した場合、Aさんに係る障害給付について、次の(1)〜(3)に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、年金額の端数処理は、円未満を四捨五入すること。
なお、計算にあたっては、下記の〈条件〉および〈資料〉に基づき、年金額は、2023年度価額に基づいて計算するものとする。

(1) 障害基礎年金の年金額はいくらか。
(2) 障害厚生年金の年金額(本来水準による価額)はいくらか。
(3) 障害補償年金の年金額はいくらか。なお、特別支給金は考慮しないものとする。

〈条件〉
(1) 厚生年金保険の被保険者期間
・総報酬制導入後の被保険者期間:180月

(2) 平均標準報酬額(2023年度再評価率による額)
・総報酬制導入後の平均標準報酬額:40万円

(3) 報酬比例部分の給付乗率
・総報酬制導入前の乗率:1,000分の7.125
・総報酬制導入後の乗率:1,000分の5.481

(4) 加給年金額(要件を満たしている場合のみ加算すること)
22万8,700円

(5) 子の加算額(要件を満たしている場合のみ加算すること)
1人目から□□□人目:22万8,700円
□□□人目以降 :7万6,200円
※「□□□」は、問題の性質上、伏せてある。

(6) 給付基礎日額
1万4,000円

〈資料〉労災保険(障害補償年金)と公的年金の調整率(一部抜粋)
障害厚生年金および障害基礎年金:0.73
障害厚生年金:0.83
障害基礎年金:0.88

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問53 解答・解説

公的年金の障害給付・併給調整に関する問題です。

障害基礎年金の本人分の支給額は、障害等級2級の場合は満額の老齢基礎年金と同額で、1級の場合は満額の老齢基礎年金の1.25倍です(つまり1級は2級の支給額の1.25倍)。
よって、2023(令和5)年度は2級は795,000円、1級は795,000円×1.25です。
さらに、障害基礎年金は、生計維持関係のある子供の人数に応じて、支給額が増加(子の加算)します。
子の加算:第1子・第2子 各228,700円、第3子以降 各76,200円
よって、Aさんが現時点で1級の障害基礎年金の受給権を取得した場合の支給額は、795,000円×1.25+228,700円×2=1,451,150円

次に、障害厚生年金の支給額は、障害等級2級・3級の場合は、障害を負った人の老齢厚生年金の報酬比例部分と同額で、1級の場合は報酬比例部分の1.25倍です。
また、被保険者期間が300月未満の場合は300月とみなして計算する最低保障がついています。

Aさんの被保険者期間は180月で300月未満のため、被保険者期間を300月とみなして計算(報酬比例部分に300/180を乗じる)することになります 。

報酬比例部分=( I + II ) ×300月/実際の被保険者期間
I 総報酬制導入前の期間分
平均標準報酬月額×乗率×総報酬制導入前の被保険者期間の月数
II 総報酬制導入後の期間分
平均標準報酬額×乗率×総報酬制導入後の被保険者期間の月数

よって本問の場合、
障害厚生年金額(1級)=(I+II)×300/180×1.25
           =822,150円
※T:0円
※II:400,000円×5.481/1,000×180月=394,632円

また、1級・2級の障害を負った時に生計同一で65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金228,700円(2023年度価格)が支給されます(障害等級3級には支給なし)。

よって、Aさんに支給される障害厚生年金の合計は、
822,150円+228,700円=1,050,850円

最後に、労災の障害補償給付は、労働者の業務上の負傷・疾病が治ったとき、労働者災害補償保険法の障害等級に該当する場合に、障害等級に応じて支給されます(治るまでは障害認定されず、給付も無し)。
障害が重度の場合には障害補償年金が毎年支給され、障害が軽度の場合には障害補償一時金が障害の程度に応じて支給されます。
障害補償年金の支給額=給付基礎日額×障害等級に応じた所定支給日数で、1級で313日分です(障害等級が下がると支給日数が少なくなる)。

ただし、同一の事由により、労災の障害補償年金と障害基礎年金・障害厚生年金が支給される場合には、障害補償年金の額は減額調整されますが、障害基礎年金・障害厚生年金はそのまま全額支給されます。ただし、減額された場合でも、減額調整前の障害補償年金より低くならないように考慮されています。
減額調整後の支給額=障害補償年金の支給額×調整率で算出されます。

よって、Aさんに支給される障害補償年金は、
給付基礎日額14,000円×313日×調整率0.73=3,198,860円

以上により正解は、(1)1,451,150(円) (2)1,050,850(円) (3)3,198,860(円)

問52          第2問

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