問35 2024年5月基礎
問35 問題文
不動産の取引における民法上の契約不適合責任に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1) 売買により取得した土地の実際の面積が契約書に記載された面積よりも小さかった場合、売主が土地の引渡し時にその不適合を知り、または重大な過失によって知らなかった場合を除き、買主はその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければ、その不適合を理由として代金の減額の請求をすることができない。
2) 売買により取得した家屋に水漏れがあった場合、売主が家屋の引渡し時にその不適合を知り、または重大な過失によって知らなかった場合を除き、買主はその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければ、その不適合を理由として契約の解除をすることができない。
3) 家屋の売買契約の締結後、売主が買主に家屋を引き渡すまでの間に、その家屋が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失した場合、買主は、その滅失を理由として代金の支払を拒むことができる。
4) 家屋の売買契約を締結し、売主が買主に家屋を引き渡した後、その家屋が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失した場合、買主は、その滅失を理由として契約の解除をすることはできない。
問35 解答・解説
不動産の売買取引に関する問題です。
1) は、不適切。売主から引き渡された土地や建物等の目的物が、数量・権利について契約内容と異なるときは、買主は、期間の制限なく権利行使(追完請求・代金の減額請求・損害賠償請求・解除)可能です。これに対し、種類・品質について契約内容と異なるときは、買主は、その不適合を知ってから1年以内に売主に通知すれば権利行使可能です。
旧民法の瑕疵担保責任では1年以内の通知という期間制限がありましたが、数量や権利の不適合は外見上明らかなことが多いため、民法改正により契約不適合責任では数量・権利について期間制限が撤廃されました。
2) は、適切。売主から引き渡された土地や建物等の目的物が、種類・品質について契約内容と異なるときは、買主は、その不適合を知ってから1年以内に売主に通知すれば、権利行使(履行の追完・代金減額・契約解除・損害賠償の請求)可能です。ただし、売主が引渡し時にその不適合を知っていた場合や、重大な過失により知らなかった場合には、1年経過後も権利行使可能です(権利行使できることを知ってからは5年、知らない場合は10年で時効)。
3) は、適切。売買契約後引渡しまでの間に、天災などのやむを得ない原因で不動産が滅失した場合は、買主は売買代金の支払拒否が可能です。なお、物件の引き渡し後に滅失した場合には、支払いを拒否できません。
4) は、適切。売買契約して引渡しを受けた後に、天災などのやむを得ない原因で不動産が滅失した場合は、買主は契約解除できず、売買代金の支払いを拒否できません。
よって正解は、1
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