問53 2024年5月応用

問53 問題文と解答・解説

問53 問題文

Aさんが、定年後もX社の継続雇用制度を利用して厚生年金保険の被保険者として同社に勤務し、65歳で退職して再就職しない場合、Aさんが原則として65歳から受給
することができる公的年金の老齢給付について、次の【1】および【2】に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、年金額の端数処理は、円未満を四捨五入すること。
なお、計算にあたっては、《設例》の〈Aさんの家族に関する資料〉および下記の〈条件〉に基づき、年金額は、2023年度価額に基づいて計算するものとする。また、妻Bさんは、公的年金の老齢給付を65歳から受給するものとする。

【1】 老齢基礎年金の年金額はいくらか。
【2】 老齢厚生年金の年金額(本来水準による価額)はいくらか。

〈条件〉
(1) 厚生年金保険の被保険者期間
・総報酬制導入前の被保険者期間 : 108月
・総報酬制導入後の被保険者期間 : 324月

(2) 平均標準報酬月額および平均標準報酬額
(65歳到達時点、2023年度再評価率による額)
・総報酬制導入前の平均標準報酬月額 : 22万円
・総報酬制導入後の平均標準報酬額  : 45万円

(3) 報酬比例部分の給付乗率
・総報酬制導入前の乗率 : 1,000分の7.125
・総報酬制導入後の乗率 : 1,000分の5.481

(4) 経過的加算額
1,657円×被保険者期間の月数−□□□円×{1961年4月以後で20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者期間の月数/480}
※「□□□」は、問題の性質上、伏せてある。

(5) 加給年金額
39万7,500円(要件を満たしている場合のみ加算すること)

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問53 解答・解説

老齢基礎年金・老齢厚生年金の支給額に関する問題です。

老齢基礎年金額の計算式は、以下の通りです。
老齢基礎年金=満額の基礎年金×(納付済月数+免除分調整月数)/(加入可能年数×12)

まず、2023年度の満額の基礎年金額は、795,000円。
Aさんの納付済月数は、国民年金は1991年4月から2000年3月までの9年×12月=108月、厚生年金は1984年4月から1990年3月までの6年と2000年4月から2030年3月までの30年ですので36年×12月=432月です。
ただし、老齢基礎年金の支給額にカウントされるのは、20歳以上60歳未満の加入期間ですから、厚生年金加入期間のうち、20歳未満と60歳以降の期間は除外します。
よって、19歳だった1984年4月〜1985年3月までの12月と、60〜65歳までの5年間の60月は除外するため、
Aさんの納付済月数:108月+432月−12月−60月=468月 となります。

次に、免除期間は、全額免除や半額免除等、免除分に応じて免除月数に一定数を乗じて、調整計算します。
Aさんには全額免除期間が12月ありますが、全額免除分の支給額は、2009(平成21)年3月分までは1/3、それ以降は1/2となります。
よって、免除分調整月数:12月×1/3=4月

またAさんは昭和16年4月2日以降生まれですので、「加入可能年数」は40年です。
(昭和16年4月1日以前生まれの場合、加入可能年数は40年を下回ります。)
以上により、
Aさんの老齢基礎年金=795,000円×(468月+4月)/(40年×12)
        =781,750円

次に、老齢厚生年金額の報酬比例部分の計算式は以下の通りです。
報酬比例部分=(平均標準報酬月額×乗率×総報酬制導入前までの被保険者期間の月数+平均標準報酬額×乗率×総報酬制導入後の被保険者期間の月数)

また、問題文では「本来水準による価額」を回答するように指示されていますので、「新乗率」を使って計算します。
※実際の年金計算では、新乗率(本来水準額)と旧乗率(従前額保障)それぞれで計算し、高い方が支給額となります。

問題にあるように、Aさんの総報酬制導入前までの平均標準報酬月額22万円・被保険者月数108月で、総報酬制導入後の平均標準報酬額45万円・被保険者月数324月です。
=220,000円×7.125/1000×108月+450,000円×5.481/1000×324月
=169,290円+799,129.8円
=968,419.8円 ⇒ 968,420円(円未満四捨五入)

次に経過的加算額ですが、これは定額部分の年金額と老齢基礎年金の差額です。
定額部分の年金は、生まれた年によって、被保険者期間の月数の上限が異なりますが、1946年(昭和21年)4月2日以後生まれの場合には上限480月として計算されます。
Aさんの被保険者期間は、108月+324月=432月<480月ですので、432月として計算されます。

また、経過的加算額の算出において、基礎年金相当部分は「1961年4月以後で20歳以上60歳未満の厚生年金の被保険者期間」ですから、Aさんの厚生年金の被保険者期間432月のうち、19歳だった12月と60歳以降の60月分は除かれます。
よって計算式は
=1,657円×432月−795,000円×(432月−12月−60月)/(40年×12)
=119,574円

よって、老齢厚生年金の基本年金額=報酬比例部分+経過的加算
=968,420円+119,574円
=1,087,994円

最後に配偶者の加給年金は、厚生年金の被保険者期間が20年以上で、65歳未満の配偶者がいる場合には、老齢厚生年金に加給年金が加算されます。
支給条件は、上記に加えて、配偶者と生計維持関係にあること(配偶者の年収850万円以下)、配偶者が厚生年金の被保険者期間20年以上の老齢厚生年金等を受給していないこと、もあります。
Aさんの厚生年金の被保険者期間は432月(36年)のため、加給年金の支給対象です。

よって、Aさんが受け取る老齢厚生年金額は、1,087,994円+397,500円=1,485,494円 です。

以上により正解は、(1)781,750(円) (2)1,485,494(円)

問52          第2問

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