問63 2024年5月応用

問63 問題文と解答・解説

問63 問題文

仮に、Aさんが現時点(2024年5月26日)において死亡し、《設例》の〈Aさんに関する資料〉に基づき、相続税の課税価格の計算上、相続税の課税価格の合計額が最も小さくなるように「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受ける場合、本特例により減額される金額を求めなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は万円単位とすること。
なお、自宅の敷地は特定居住用宅地等、賃貸アパートの敷地は貸付事業用宅地等に該当するものとする。

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問63 解答・解説

小規模宅地の特例に関する問題です。

小規模宅地の特例では、自宅兼賃貸物件の場合には自宅部分は330uを上限に80%減額、賃貸部分は200uを上限に50%減額、賃貸募集していない空室は減額ゼロです。また、特定事業用は400uを上限に80%減額です(特定事業用宅地は被相続人の事業用だけでなく、被相続人と同一生計の親族の事業用宅地も対象です)。

まず、賃貸アパートの敷地574uの相続税評価額が不明なため、まずはアパート敷地の相続税評価額が算出します。
自分が所有する土地に建築した家屋を、他に貸し付けている場合、建物は貸家、土地は貸家建付地として評価され、自用地評価よりも借地権や借家権の割合分が減額された相続税評価額となります(自分の土地にアパートを建てて賃貸している等)。

評価額の計算式は以下の通り。
貸家建付地の評価額=自用地評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

よって、借地権割合60%、借家権割合が30%、賃貸割合100%の場合、
貸家建付地の評価額=自用地評価額×(1−60%×30%×100%)
         =7,000万円×(1−0.6×0.3×1.0)
         =7,000万円×0.82=5,740万円

小規模宅地の特例は、特定事業用400uと特定居住用330uを併用する際は、それぞれ適用可能となり、最大730uまで適用可能です。
ただし、特定事業用や特定居住用と貸付事業用を併用する場合、一定の限度面積の制限があります。
<貸付事業用宅地を併用して小規模宅地等の特例適用を受ける場合の限度面積>
特定事業用の適用面積×200/400+特定居住用の適用面積×200/330+貸付事業用の適用面積≦200u

このため、貸付事業用を併用する場合には、減額割合と面積制限に応じた1u当たりの相続税評価額を算出し、金額の多い順から特例適用すると、評価額の減額幅が大きくなります。
特定居住用:相続税評価額/u×80%×330=相続税評価額/u×2.64
特定事業用:相続税評価額/u×80%×400=相続税評価額/u×3.20
貸付事業用:相続税評価額/u

よって、まず自宅・賃貸の敷地いずれかに単独適用する場合、減額される金額は以下の通り。
小規模宅地の特例による評価減額=自用地評価額×適用上限/敷地面積×減額割合
特定居住用:自宅3,000万円×264u/264u×80%=2,400万円
貸付事業用:賃貸5,740万円×400u/574u×50%=2,000万円

次に、特定居住用と貸付事業用を併用する場合、どの宅地から優先適用すると有利かは以下の通り。
特定居住用:3,000万円/264u×2.64=30万円
貸付事業用:5,740万円/574u=10万円
よって本問の場合、特定居住用>貸付事業用の順に優先適用するのが最も減額評価されます。

特定事業用の適用面積×200/400+特定居住用の適用面積×200/330+貸付事業用の適用面積≦200u
0u×200/400+264u×200/330+貸付事業用の適用面積≦200u
貸付事業用の適用面積≦200u−(0u×200/400+264u×200/330)
          ≦200u−(0u+160u)
          ≦40u
従って特定居住用と貸付事業用を併用する場合、減額される金額は以下の通り。
特定居住用:自宅3,000万円×264u/264u×80%=2,400万円
貸付事業用:賃貸5,740万円×40u/574u×50%=200万円
減額合計 :2,400万円+200万円=2,600万円

よって、単独適用(最高2,400万円)と比較して、貸付事業用も併用すると最も減額評価される(合計2,600万円)ことが分かります。

従って、相続税の課税価格の合計額が最も小さくなるように特例適用した場合に減額される金額は、2,600万円です。

以上により正解は、2,600(万円)

第5問          問64

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