問33 2010年1月基礎

問33 問題文と解答・解説

問33 問題文

X社の当期の決算資料に基づく次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
<X社の当期の決算資料>
資産の部合計  :200百万円
負債の部合計  :120百万円
純資産の部合計 : 80百万円
売上高       :300百万円
変動費             :180百万円
固定費             : 90百万円
経常利益          : 30百万円

1) 総資本回転率は1.5回であり,総資本経常利益率は15%である。

2) 損益分岐点売上高は150百万円であり,限界利益率は10%である。

3) 仮に,当期の売上高,変動費が変わらず固定費が10百万円多かったとすると,経営安全
率は約17%となる。

4) 仮に,当期の変動費率が変わらず売上高が20%少なかったとすると,経常利益は6百万
円となる。

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問33 解答・解説


企業の決算資料に関する問題です。

1) は、適切。総資本回転率=売上高÷資産ですので、300÷200=1.5回。
総資本経常利益率=経常利益÷資産ですので、30÷200=0.15=15%。

2) は、不適切。損益分岐点売上高とは、売上高−(変動費+固定費)=0円 のときの売上高です。
まず、固定費は売上高が0円でも必ずかかる費用ですので、固定費は90百万円。

次に変動費は、売上高に比例して増減する費用です。資料では売上高300百万円のときに変動費180百万円なのですから、変動費率(売上高に対する変動費の割合)=180÷300=0.6 です。
よって、損益分岐点売上高−(損益分岐点売上高×0.6+90)=0円。
損益分岐点売上高=90÷0.4=225百万円。

限界利益率は、限界利益率=(売上高−変動費)÷売上高=1−変動費率 となりますので、
限界利益率=1−0.6=0.4=40% です。

3) は、適切。経営安全率は、限界利益(売上増加時に最大限獲得できる利益=売上高−変動費)を経常利益がどの程度上回っているかを示す比率で、会社が耐えられる売上高の減少幅の割合を示す指標です(売上が減れば比例して変動費が減るものの、固定費はそのままなので経常利益はさらに減少するため、赤字転落のリスクが高まって経営上の余裕(安全率)が低下します)。
経営安全率=経常利益÷限界利益×100(%)=経常利益÷(売上高−変動費)×100(%) ですので、固定費だけが10百万円多かったのですから、経常利益が10百万円分減るので、
経営安全率=(30−10)÷(300−180)×100(%)
     =20÷120×100(%)=16.666…→17%

なお、経営安全率=(売上高−損益分岐点売上高)÷売上高×100(%) でも計算可能です(現在の売上高が損益分岐点をどの程度上回っているかを示す)。

4) は、適切。売上高が20%少なかった場合、売上高=300×0.8=240 。変動費率は当期と変わらないので、変動費=売上高×変動費率=240×0.6=144 。
経常利益=売上高−(変動費+固定費)=240−(144+90)=6百万円。

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