問53 2015年10月応用

問53 問題文と解答・解説

問53 問題文

Aさんが、定年退職後もX社の再雇用制度を利用して同社に勤務し、63歳到達時に退職して再就職しない場合、Aさんが63歳から受給することができる特別支給の老齢厚生年金の年金額を求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。年金額の端数処理は、50円未満は切捨て、50円以上100円未満は100円に切上げとし、計算過程における端数処理は、円未満を四捨五入すること。
なお、計算にあたっては、以下の〈条件〉と〈資料〉の計算式を利用し、年金額は、平成27年4月時点の価額(本来水準による価額)に基づいて計算するものとする。また、資料中の「□□□」は、問題の性質上、伏せてある。

〈条件〉
(1) 厚生年金保険の被保険者期間
・昭和52年4月〜平成15年3月(312月)
・平成15年4月〜平成33年5月(218月)

(2) 平均標準報酬月額および平均標準報酬額
・平均標準報酬月額:400,000円
・平均標準報酬額 :520,000円

〈資料〉
特別支給の老齢厚生年金の年金額(平成27年度価額、本来水準による価額)
下記、老齢厚生年金の計算式の T)+U)+V)

特別支給の老齢厚生年金の計算式
T)定額部分の額=□□□円×被保険者期間の月数
U)報酬比例部分の額=(1)+(2)
(1)平成15年3月以前の期間分
平均標準報酬月額×乗率×平成15年3月以前の被保険者期間の月数
(2)平成15年4月以後の期間分
平均標準報酬額×乗率×平成15年4月以後の被保険者期間の月数

報酬比例部分の給付乗率(1,000分の)
総報酬制導入前・・・新乗率:7.125 旧乗率:7.5
総報酬制導入後・・・新乗率:5.481 旧乗率:5.769

V)加給年金額=390,100円(要件を満たしている場合のみ加算すること)

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問53 解答・解説

特別支給の老齢厚生年金の支給額に関する問題です。

まず定額部分の年金額ですが、Aさんは昭和33年6月15日生まれのため、本来であれば定額部分の年金は支給されません。
しかし、加入期間が44年以上あるため、「長期加入者の特例(44年特例)」により、定額部分の年金も支給対象です。
定額部分の年金は、生まれた年によって、被保険者期間の月数の上限が異なります。
昭和 9年4月2日〜昭和19年4月1日生まれ……上限444月
昭和19年4月2日〜昭和20年4月1日生まれ……上限456月
昭和20年4月2日〜昭和21年4月1日生まれ……上限468月
昭和21年4月2日以後生まれ………………………上限480月
Aさんの被保険者期間は、312月+218月=530月ですが、昭和33年生まれなので、上限480月として計算されます。
定額部分の年金=1,626円×被保険者期間(注)
       =1,626円×480月=780,480円

また、平成27年度の老齢厚生年金の報酬比例部分の計算式は以下の通りです。
報酬比例部分=(T+U)(注)
 T:平均標準報酬月額×乗率×平成15年3月までの被保険者期間の月数
 U:平均標準報酬額 ×乗率×平成15年4月以後の被保険者期間の月数
(注)マクロ経済スライドの発動により、物価スライド率の計算(平成26年度は1.031×0.961)は無し

また、前回(2015年1月分)までの出題では、「物価スライド特例措置」に基づき計算するように問題文に指示があったため、乗率も「旧乗率」で計算する必要がありましたが、今回は「平成27年度の本来水準」に基づき計算するように指示されていますので、「新乗率」を使って計算します。
※実際の年金計算では、新乗率(本来水準額)と旧乗率(従前額保障)それぞれで計算し、高い方が支給額となります。

よってAさんの報酬比例部分の年金額は、
=400,000円×7.125/1,000×312月+520,000円×5.481/1,000×218月
=1,510,526.1円 ⇒ 1,510,526円 (円未満四捨五入)

よって、定額部分と報酬比例部分を合わせた基本年金額は、
780,480円+1,510,526円=2,291,006円 → 2,291,000円(50 円未満切捨て)

最後に配偶者の加給年金は、厚生年金の被保険者期間が20年以上で、65歳未満の配偶者がいる場合には、老齢厚生年金に加給年金が加算されますが、Aさんの厚生年金の被保険者期間は530月(44年2ヶ月)のため、加給年金の支給対象です。

よって、Aさんが受け取る特別支給の老齢厚生年金額は、
2,291,000円+390,100 円=2,681,100円 です。

以上により正解は、2,681,100(円)

問52          第2問

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