問10 2017年9月実技(資産設計)
問10 問題文
真理子さんは子どもが生まれることもあり、自分に万一のことがあった場合のことを心配している。子ども(1人)が生まれた後に真理子さんが死亡した場合に支給される公的年金の遺族給付に関する次の記述の空欄(ア)〜(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、真理子さんは厚生年金加入中に死亡するものとし、死亡前の公的年金加入歴および遺族年金の額は下記<資料>のとおりであるものとする。また、真理子さん死亡後、孝之さんと子どもは生計を同じくするものとし、遺族給付に関する記載以外の支給要件はすべて満たされているものとする。
<資料>
[真理子さんの死亡前の公的年金加入歴]
[真理子さんの死亡による遺族年金の額]
<遺族厚生年金>
・年金額=250,000円
<遺族基礎年金>
・年金額=779,300円
・子の加算額:
第1子および第2子 1人当たり224,300円
第3子以降 1人当たり74,800円
・真理子さんが死亡した場合、遺族基礎年金を受給できる遺族とされるのは孝之さんと子どもであり、遺族厚生年金を受給できる遺族とされるのは( ア )である。
・支給される遺族年金の額は、孝之さんは( イ )、子どもは( ウ )である。
1.(ア)孝之さんと子ども (イ)1,003,600円(ウ)1,029,300円
2.(ア)孝之さんと子ども (イ)1,253,600円(ウ) 250,000円
3.(ア)子ども (イ)1,253,600円(ウ)1,029,300円
4.(ア)子ども (イ)1,003,600円(ウ) 250,000円
問10 解答・解説
遺族基礎年金・遺族厚生年金の支給要件・支給額に関する問題です。
遺族基礎年金や遺族厚生年金の支給を受けるには、いずれも被保険者が、20歳〜死亡月の前々月までの期間のうち、納付済期間と免除期間の合計で3分の2以上、年金保険料を納付している必要があります。
ただし、平成38年3月31日までに65歳未満で死亡した場合は、死亡月の前々月までの1年間に未納期間がなければOKです(以前は平成28年3月31日まででしたが、10年延長されました)。
本問の場合、真理子さんが平成30年9月時点で死亡しても、前々月まで1年間未納期間がないため、支給対象となります。
遺族基礎年金は、子供や子供のいる配偶者が支給対象で、支給要件は以下全てを満たすことが必要です。
●配偶者の場合:被保険者(夫・妻)が死亡した当時、生計維持関係にあり、子どもと同一生計。
●子の場合 :被保険者(父・母)が死亡した当時、生計維持関係にあり、18歳未満(18歳到達年度末まで可)、または20歳未満で障害有り。かつ、結婚していない。
遺族基礎年金は、配偶者と子それぞれ別個に受給権が発生しますが、配偶者に対する遺族基礎年金が優先して支給されます(子に対する遺族基礎年金は支給停止)。
これに対し、遺族厚生年金の支給対象は、死亡した被保険者によって生計を維持されていた「配偶者および子、父母、孫、祖父母(←支給順位順)」で、最高順位の者以外には受給権がありません。
また、妻以外の遺族の場合、子・孫は18歳未満(18歳到達年度末まで可)または20歳未満で障害有り、夫・父母・祖父母は55歳以上(支給は60歳から)が支給対象です。
よって本問の場合、真理子さん死亡時、夫の孝之さんは34歳のため遺族厚生年金の支給対象とならず、子供に支給されます(18歳到達年度末まで)。
また、遺族基礎年金は「子のある配偶者」である夫の孝之さんに支給され、第一子の18歳到達年度末までは子の加算1人分となります。
よって、真理子さんが平成30年9月時点で死亡した場合の遺族基礎年金は、779,300円+224,300円×1=1,003,600円 で、夫の孝之さんに支給され、遺族厚生年金250,000円は、子供に支給されます。
以上により正解は、4.(ア)子ども (イ)1,003,600円 (ウ) 250,000円
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