問10 2018年9月実技(資産設計)
問10 問題文
美香さんは恭介くんが誕生したこともあり、慎吾さんに万一のことがあった場合のことを心配している。仮に、慎吾さんが厚生年金保険加入中に死亡した場合、死亡時点において美香さんに支給される遺族厚生年金と遺族基礎年金の額の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、慎吾さんの公的年金加入歴および年金額の計算式は、下記<資料>に基づくものとする。また、記載のない遺族年金の支給要件はすべて満たされているものとする。
<資料>
[慎吾さんの公的年金加入歴]
[遺族厚生年金]
・年金額=(【1】+【2】)×3/4
【1】2003年3月以前の被保険者期間分
平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月以前の被保険者期間の月数
【2】2003年4月以後の被保険者期間分
平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以後の被保険者期間の月数
※被保険者期間の月数が300月未満の場合は、300月とみなして計算する。
※年金額の計算に当たっては、計算過程および解答ともに円未満を四捨五入するものとする。
・中高齢寡婦加算額:584,500円
[遺族基礎年金]
・年金額:779,300円
・子の加算額:
第1子および第2子 1人当たり224,300円
第3子以降 1人当たり 74,800円
1.遺族厚生年金624,834円 遺族基礎年金779,300円
2.遺族厚生年金624,834円 遺族基礎年金1,003,600円
3.遺族厚生年金468,626円 遺族基礎年金779,300円
4.遺族厚生年金468,626円 遺族基礎年金1,003,600円
問10 解答・解説
遺族基礎年金・遺族厚生年金の支給要件・支給額に関する問題です。
遺族基礎年金や遺族厚生年金の支給を受けるには、いずれも被保険者が、20歳〜死亡月の前々月までの期間のうち、納付済期間と免除期間の合計で3分の2以上、年金保険料を納付している必要があります。
ただし、2026年3月31日までに65歳未満で死亡した場合は、死亡月の前々月までの1年間に未納期間がなければOKです(以前は2016年3月31日まででしたが、10年延長されました)。
本問の場合、慎吾さんが2018年9月時点で死亡しても、前々月まで1年間未納期間がないため、支給対象となります。
遺族基礎年金は、子供や子供のいる配偶者が支給対象で、子どもの人数に応じて、支給額が増加します。
子供の数 : 支給金額(年間・平成30年度額)
子供1人 : 779,300円+224,300円×1=1,003,600円
子供2人 : 779,300円+224,300円×2=1,227,900円
子供3人 : 779,300円+224,300円×2+74,800円=1,302,700円
子供4人以上 : 1人増えるごとに74,800円追加
※支給期間は子供が18歳になる年度末まで。
779,300円は満額の老齢基礎年金額と一緒で、子供2人までは1人当たり224,500円が増額され、3人目以降は1人当たり74,800円が増額されるわけですね。
よって、慎吾さんが現時点で死亡した場合の遺族基礎年金は、780,100円+224,300円×1=1,003,600円
次に、遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者が死亡した場合、その被保険者によって生計を維持されていた配偶者および子、父母、孫、祖父母(←支給順位順)に、支給されます(最高順位の者以外には受給権無し)。
支給額は死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3で、被保険者期間が300月未満の場合は300月とみなして計算する最低保障がついています。
慎吾さんの被保険者期間は、161月で300月未満のため、被保険者期間を300月とみなして計算(報酬比例部分に300/161を乗じる)することになります 。
遺族厚生年金額=38万円×5.481/1000×161月×300/161×3/4
=468625.5円→468,626円(円未満四捨五入)
なお、夫死亡時に40歳以上65歳未満で子のいない妻や、子があってもその子が遺族基礎年金における加算対象外となったときに40歳以上65歳未満の妻には、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されます。
33歳の美香さんには、遺族基礎年金の支給対象となる子である恭介くんがいるため、現時点では中高齢寡婦加算の対象外です。
以上により正解は、4.遺族厚生年金468,626円 遺族基礎年金1,003,600円
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