問22 2020年1月基礎

問22 問題文と解答・解説

問22 問題文

行動ファイナンスの基礎となる意思決定理論に関する一般的な次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1) 投資家は、利益が出ている局面ではリスク回避的になるのに対し、損失が出ている局面ではリスク追求的になる反転効果の傾向があるとされている。

2) 投資家は、ある選択をしたことによって実際に支出した費用に比べて、他の選択をしていれば得られたであろう利益(機会費用)を軽く捉える傾向があるとされている。

3) 投資家は、ある選択をする場合、これから支出する費用と得られる便益を考慮し、選択前に既に支払っていた費用はその選択には影響を及ぼさない傾向があるとされている。

4) 投資家は、価値を判断するにあたって、価値の絶対的な水準よりも利益と損失の判断を分ける基準点からの変化の大きさによって価値を決定する傾向があるとされている。

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問22 解答・解説

行動ファイナンスに関する問題です。
行動ファイナンスは、従来の経済学における「人間は合理的な行動・選択をする」という前提に捉われず、人間の心理や感情を考慮した「人間の非合理性」に着目した投資理論です。

1) は、適切。行動ファイナンスでは、投資家は、利益が出ている局面ではできるだけ確実な利益を得られるような選択肢を選ぶリスク回避的行動を取るのに対し、損失が出ている局面ではより損失が出るリスクを負ってでも利益を得ようとするリスク追求的になる傾向(反転効果)があるとされます。
つまり、含み益が出ているときはその利益を無くしたくないためにすぐに利益確定しまいがちであり、含み損が出ているときは少しでも損が少なくなるよう株価が持ち直すまでズルズルと持ち続けてしまいがちということですね。

2) は、適切。行動ファイナンスでは、投資家は、ある選択による実際の支出費用に比べて、別の選択により得られたであろう利益(機会費用)を軽く捉える傾向(機会費用の軽視)があるとされています。
いわゆる「すっぱいブドウ」のように、人間には得られなかったものの価値を低く評価する心理があるわけです。

3) は、不適切。行動ファイナンスでは、投資家がある選択をする場合、今後の支出と利益を考慮した上で、既に支払い済みの費用がその後の選択に影響してしまう傾向(コンコルド効果)があるとされています。
コンコルド効果はサンクコスト効果や埋没費用効果とも言われ、今まで費やしたお金や時間がもったいなくて、無理に投資を続けてしまうことを示しています。

4) は、適切。行動ファイナンスでは、投資家が価値を判断する際、価値の絶対的な水準よりも利益と損失の判断を分ける基準点(参照点)からの変化の大きさによって価値を決定する傾向(参照点依存性)があるとされています。
つまり、絶対的な水準である価格が同じ商品でも、「定価の2割引き」や「隣の店より2割高い」といった投資家それぞれの基準により、その商品が高いか安いかの価値を決める傾向があるというわけです。

よって正解は、3

問21      問23

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