問53 2020年1月応用

問53 問題文と解答・解説

問53 問題文

Aさんが、定年退職後もX社の再雇用制度を利用して厚生年金保険の被保険者として同社に勤務し、65歳で退職して再就職しない場合、Aさんが原則として65歳から実際に受給することができる公的年金の老齢給付について、次の【1】および【2】に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、年金額の端数処理は、円未満を四捨五入すること。
なお、計算にあたっては、下記の〈条件〉に基づき、年金額は、2019年度価額に基づいて計算するものとする。また、妻Bさんには、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)が法定の支給開始年齢から支給されるものとする。

【1】老齢基礎年金の年金額はいくらか。
【2】老齢厚生年金の年金額(本来水準による価額)はいくらか。

〈条件〉
(1) 厚生年金保険の被保険者期間
・総報酬制導入前の被保険者期間 : 228月
・総報酬制導入後の被保険者期間 : 277月(65歳到達時点)

(2) 平均標準報酬月額および平均標準報酬額
(65歳到達時点、2019年度再評価率による額)
・総報酬制導入前の平均標準報酬月額 : 30万8,000円
・総報酬制導入後の平均標準報酬額 : 49万6,000円

(3) 報酬比例部分の給付乗率
・総報酬制導入前の乗率 : 1,000分の7.125
・総報酬制導入後の乗率 : 1,000分の5.481

(4) 経過的加算額
1,626円×被保険者期間の月数−□□□円×(1961年4月以後で20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者期間の月数/加入可能年数×12)
※「□□□」は、問題の性質上、伏せてある。

(5) 加給年金額
39万100円(要件を満たしている場合のみ加算すること)

ページトップへ戻る

問53 解答・解説

老齢基礎年金・老齢厚生年金の支給額に関する問題です。

老齢基礎年金額の計算式は、以下の通りです。
老齢基礎年金=満額の基礎年金×(納付済月数+免除分調整月数)/(加入可能年数×12)

まず、2019年度の満額の基礎年金額は、780,100円。
Aさんには免除期間がなく、納付済月数は厚生年金の被保険者期間の合計として、228月+277月=505月ですが、これは厚生年金の被保険者期間です。
老齢基礎年金は、20歳〜60歳までの40年間(480ヶ月)が加入可能年数の上限となります(昭和16年4月2日以降に生まれた場合)。

Aさんは、大学在学中は国民年金に任意加入せず、卒業後就職してからはずっと厚生年金に加入しています。
よって、上限の480ヶ月から、在学中の未加入期間35月を差し引けば、保険料納付済期間を算出できます。

以上により、
Aさんの老齢基礎年金=780,100円×(480月−35月)/(40年×12)
          =723,217.7…円 ⇒ 723,218 円(円未満四捨五入)

従って、(1)老齢基礎年金の年金額は、723,218円

次に、老齢厚生年金額の報酬比例部分の計算式は以下の通りです。
報酬比例部分=(平均標準報酬月額×乗率×総報酬制導入前までの被保険者期間の月数+平均標準報酬額×乗率×総報酬制導入後の被保険者期間の月数)

問題にあるように、Aさんの総報酬制導入前までの平均標準報酬月額30.8万円・被保険者月数228月で、総報酬制導入後の平均標準報酬額49.6万円・被保険者月数277月です。
=308,000円×7.125/1000×228月+496,000円×5.481/1000×277月
=500,346円+753,045.552円
=1,253,391.5…円 ⇒ 1,253,392 円(円未満四捨五入)

次に経過的加算額ですが、これは定額部分の年金額と老齢基礎年金の差額です。
定額部分の年金は、生まれた年によって、被保険者期間の月数の上限が異なりますが、1946年(昭和21年)4月2日以後生まれの場合には上限480月として計算されます。
Aさんの被保険者期間は、228月+277月=505月>480月ですので、480月として計算されます。

また、経過的加算額の算出において、基礎年金相当部分は「1961年4月以後で20歳以上60歳未満の厚生年金の被保険者期間」ですから、Aさんの厚生年金の被保険者期間505月のうち、60歳以降の60月分は除かれます。
よって計算式は
=1,626円×480月−780,100円×(505月−60月)/(40年×12)
=57,262.2…円 ⇒ 57,262 円(円未満四捨五入)

よって、老齢厚生年金の基本年金額=報酬比例部分+経過的加算
=1,253,392 円+57,262 円
=1,310,654 円

最後に配偶者の加給年金は、厚生年金の被保険者期間が20年以上で、65歳未満の配偶者がいる場合には、老齢厚生年金に加給年金が加算されます。
支給条件は、上記に加えて、配偶者と生計維持関係にあること(配偶者の年収850万円以下)、配偶者が厚生年金の被保険者期間20年以上の老齢厚生年金等を受給していないこと、もあります。
Aさんの厚生年金の被保険者期間は505月(42年1ヶ月)ですが、妻Bさんは63歳から特別支給の老齢厚生年金を受給済みです。しかし、妻Bさんの厚生年金の被保険者期間は1982年4月〜1990年9月までの8年6ヶ月と、2004年10月から2019年3月までの14年6ヶ月の、合計で23年間ですので、受給している特別支給の老齢厚生年金は、被保険者期間20年以上ということになります。
よって、Aさんは加給年金の支給対象外です。

よって、Aさんが受け取る老齢厚生年金額は、1,310,654 円 です。

以上により正解は、(1)723,218(円) (2)1,310,654(円)

問52          第2問

  ●無料アプリ版公開中。
  ●学科も実技も完全無料!

  

  ●広告無しの有料版。
  ●広告無しで集中学習!

  

ページトップへ戻る

関連・類似の過去問

この問題と似ている問題を検索してみよう!「検索」ボタンをクリック!

Yahoo! JAPAN

  • このサイト内を検索
ページトップへ戻る

FP対策講座

<FP対策通信講座>

●LECのFP講座(キーワード検索欄で「1級」と検索) ⇒ FP(ファイナンシャル・プランナー)サイトはこちら

●1級FP技能士(学科試験対策)のWEB講座 ⇒ 1級FP技能士資格対策講座(資格対策ドットコム)

●通勤中に音声学習するなら ⇒ FP 通勤講座

●社労士・宅建・中小企業診断士等も受けるなら ⇒ 月額定額サービス【ウケホーダイ】

ページトップへ戻る

Sponsored Link

実施サービス

Sponsored Link

メインメニュー

Sponsored Link

サイト内検索

Sponsored Link

Copyright(C) 1級FP過去問解説 All Rights Reserved.