問58 2020年1月応用
問58 問題文
Aさんの2019年分の事業所得の金額を求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。なお、Aさんは、正規の簿記の原則(複式簿記)に従って記帳し、それに基づき作成した貸借対照表および損益計算書等を確定申告書に添付して、確定申告期限内に提出するものとし、事業所得の金額の計算上、青色申告特別控除額を控除すること。
問58 解答・解説
事業所得の計算に関する問題です。
事業所得の金額=売上(収入)金額−売上原価−必要経費−青色事業専従者給与−青色申告特別控除額 です。最高65万円の青色申告特別控除を受ける場合には、取引内容を正規の簿記の原則に従い記録し、貸借対照表等の帳簿書類を確定申告書に添付した上で、納税地の所轄税務署長に申告期限内(翌年の2月16日から3月15日まで)に提出することが必要ですが、Aさんはその条件を満たしているため、最高65万円の特別控除が受けられ、また青色事業専従者給与も適用されることになります。
(ただし、本問では青色事業専従者給与80万円は必要経費に含まれているため、計算式では使用しません。)
まず、売上原価(当期の売上に対し仕入れにかかった金額)とは、前期末の在庫金額(期首商品棚卸高)と当期の仕入れ金額(当期商品仕入高)の合計から、今期の年末の在庫金額(期末商品棚卸高)を差し引いたもので、商品の仕入れや製造にどれくらいの費用がかかるかを表すものです。
売上原価=期首棚卸高+当期仕入高−期末棚卸高
=710万円+7,500万円−745万円=7,465万円
また、減価償却には、毎年一定額を償却する定額法と、毎年の残存価額の一定割合を償却する定率法があり、どちらの償却方法を適用するか届出をしない場合、個人は法定償却方法である定額法となります(法人は定率法)。
償却できるのは事業で使った月数分だけで、事業専用に使った分だけです。
減価償却費=取得価額×償却率×事業での使用月数/12ヶ月×事業専用使用割合
Aさんの車両の使用開始日は7月12日ですので、1年のうち5ヶ月と20日間だけ使用していますが、1ヶ月未満の使用月数は切り上げるため、6ヶ月使用したとみなされます。
従って、減価償却費=48万円×1台×0.25×6ヶ月/12ヶ月×100%
=6万円
また、売上値引および返品高は、商品に不具合等があって、値引き販売した場合や返品された場合に計上されるもので、事業所得の算出の際は、売上から控除します。
以上により、
Aさんの事業所得=売上−(必要経費+売上原価+減価償却費+売上値引および返品高)−青色申告特別控除額
=9,960万円−(690万円+7,465万円+6万円+14万円)−65万円
=1,720万円
以上により正解は、(1)17,200,000(円)
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