問52 2022年9月応用

問52 問題文と解答・解説

問52 問題文

Aさんが、65歳でX社を退職し再就職しない場合、Aさんが原則として65歳から受給することができる公的年金の老齢給付について、次の【1】および【2】に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、年金額の端数処理は、円未満を四捨五入すること。
なお、計算にあたっては、下記の〈条件〉に基づき、年金額は、2022年度価額に基づいて計算するものとする。

【1】老齢基礎年金の年金額はいくらか。
【2】老齢厚生年金の年金額(本来水準による価額)はいくらか。

〈条件〉
(1) 厚生年金保険の被保険者期間
・総報酬制導入前の被保険者期間 : 194月
・総報酬制導入後の被保険者期間 : 271月

(2) 平均標準報酬月額および平均標準報酬額
(65歳到達時点、2022年度再評価率による額)
・総報酬制導入前の平均標準報酬月額 : 30万円
・総報酬制導入後の平均標準報酬額  : 50万円

(3) 報酬比例部分の給付乗率
・総報酬制導入前の乗率 : 1,000分の7.125
・総報酬制導入後の乗率 : 1,000分の5.481

(4) 経過的加算額
1,621円×被保険者期間の月数−□□□円×{1961年4月以後で20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者期間の月数/480}
※「□□□」は、問題の性質上、伏せてある。

(5) 加給年金額
388,900円(要件を満たしている場合のみ加算すること)

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問52 解答・解説

老齢基礎年金・老齢厚生年金の支給額に関する問題です。

老齢基礎年金額の計算式は、以下の通りです。
老齢基礎年金=満額の基礎年金×(納付済月数+免除分調整月数)/(加入可能年数×12)

まず、2022年度の満額の基礎年金額は、777,800円。
Aさんには免除期間がなく、納付済月数は厚生年金の被保険者期間の合計として、194月+271月=465月ですが、これは厚生年金の被保険者期間です。
老齢基礎年金は、20歳〜60歳までの40年間(480ヶ月)が加入可能年数の上限となります(昭和16年4月2日以降に生まれた場合)。

Aさんは、大学在学中は国民年金に任意加入せず、卒業後は厚生年金の被保険者期間と国民年金の第3号被保険者期間があります。
国民年金の第3号被保険者は、第2号被保険者(厚生年金や共済年金の被保険者)に生計を維持されている(年収130万円未満)、20歳〜60歳までの人で、保険料負担はありませんが、年金記録上は保険料納付済期間としてカウントされます。
よって、上限の480ヶ月から、在学中の未加入期間29月を差し引けば、保険料納付済期間を算出できます。

以上により、
Aさんの老齢基礎年金=777,800円×(480月−29月)/(40年×12)
          =730,807.9…円 ⇒ 730,808 円(円未満四捨五入)

従って、(1)老齢基礎年金の年金額は、730,808円

次に、老齢厚生年金額の報酬比例部分の計算式は以下の通りです。
報酬比例部分=(平均標準報酬月額×乗率×総報酬制導入前までの被保険者期間の月数+平均標準報酬額×乗率×総報酬制導入後の被保険者期間の月数)

また、問題文では「本来水準による価額」を回答するように指示されていますので、「新乗率」を使って計算します。
※実際の年金計算では、新乗率(本来水準額)と旧乗率(従前額保障)それぞれで計算し、高い方が支給額となります。

問題にあるように、Aさんの総報酬制導入前までの平均標準報酬月額30万円・被保険者月数194月で、総報酬制導入後の平均標準報酬額50万円・被保険者月数271月です。
=300,000円×7.125/1000×194月+500,000円×5.481/1000×271月
=414,675円+742,675.5?円
=1,157,350.5円 ⇒ 1,157,351 円(円未満四捨五入)

次に経過的加算額ですが、これは定額部分の年金額と老齢基礎年金の差額です。
定額部分の年金は、生まれた年によって、被保険者期間の月数の上限が異なりますが、1946年(昭和21年)4月2日以後生まれの場合には上限480月として計算されます。
Aさんの被保険者期間は、194月+271月=465月<480月ですので、465月として計算されます。

また、経過的加算額の算出において、基礎年金相当部分は「1961年4月以後で20歳以上60歳未満の厚生年金の被保険者期間」ですから、Aさんの厚生年金の被保険者期間469月のうち、60歳以降の60月分は除かれます。
よって計算式は
=1,621円×465月−777,800円×(465月−60月)/(40年×12)
=97,496.2…円 ⇒ 97,496 円(円未満四捨五入)

よって、老齢厚生年金の基本年金額=報酬比例部分+経過的加算
=1,157,351円+97,496 円
=1,254,847 円

最後に配偶者の加給年金は、厚生年金の被保険者期間が20年以上で、65歳未満の配偶者がいる場合には、老齢厚生年金に加給年金が加算されます。
支給条件は、上記に加えて、配偶者と生計維持関係にあること(配偶者の年収850万円以下)、配偶者が厚生年金の被保険者期間20年以上の老齢厚生年金等を受給していないこと、もあります。
Aさんの厚生年金の被保険者期間は465月(38年9ヶ月)ですが、Aさんが65歳時に既に夫Bさんは68歳であるため、加給年金の支給対象外です。

よって、Aさんが受け取る老齢厚生年金額は、1,254,847 円 です。

以上により正解は、(1)730,808(円) (2)1,254,847(円)

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