問64 2023年5月応用

問64 問題文と解答・解説

問64 問題文

仮にAさんが現時点(2023年5月28日)で死亡し、長男Cさんに係る相続税の課税価格が1億1,070万円である場合、《設例》の〈Aさんに関する資料〉に基づき、次の(1)〜(3)に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は万円単位とすること。
なお、《問63》の答にかかわらず、自宅敷地の相続税評価額は1億円、貸家建付地の相続税評価額は4,000万円(いずれも「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用前の金額)とすること。また、自宅建物およびその敷地を妻Bさんが相続して、自宅敷地について「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けるものとする。

(1) 課税価格の合計額はいくらか。
(2) 相続税の総額はいくらか。
(3) 長男Cさんの納付すべき相続税額はいくらか。

〈資料〉相続税の速算表


〈資料〉贈与税の速算表(一部抜粋)

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問64 解答・解説

相続税の課税価格・総額・納付税額に関する問題です。

(1)まず自宅の敷地と貸家建付地の評価額について、小規模宅地の特例は、特定居住用は330uを上限に80%減額、特定事業用は400uを上限に80%減額、貸付事業用は200uを上限に50%減額となります。
小規模宅地の特例による評価減額=自用地評価額×適用上限/敷地面積×減額割合
ただし、適用可能面積はそれぞれの上限までであり、一方の超過分をもう一方から差し引くことはできないため、貸付事業用との併用は、特例を適用する敷地面積に応じて調整計算する必要があります。
本問の場合、特定居住用の自宅敷地は500uで上限の330uを超過しており、自宅の評価額の方が高く減額割合も大きいため、貸付事業用と併用せず全て特定居住用に特例適用する方が減額評価されます。
小規模宅地の特例による評価減額=1億円×330u/500u×80%=5,280万円
よって、特例適用後の相続税の課税価格に算入すべき価額は、自宅敷地は1億円−5,280万円=4,720万円となり、貸家建付地は特例適用無しの4,000万円です。

次に、生命保険の契約者と被保険者が同じで、保険金受取人が異なり、受取人が相続人となる場合、支払われる死亡保険金は、みなし相続財産として、相続税の課税対象となります。ただし、「500万円×法定相続人の数」までは非課税です。
本問の場合、法定相続人は配偶者・実子3人の計4人となります。
よって死亡保険金の非課税枠は、500万円×4人=2,000万円 です。
従って相続税の課税価格に算入すべき価額は、死亡保険金5,000万円−2,000万円=3,000万円です。

また、相続開始前3年以内に贈与された財産は、相続税の課税価格に加算(贈与時の価額)されます。
Aさんは2022年10月に長男Cさんに暦年贈与で560万円を贈与しているため、生前贈与加算の対象です。

以上により、Aさんが所有する財産のうち相続税の課税価格に算入する合計額は、
現預金1億4,500万円+上場株式1億3,000万円+自宅建物2,500万円+自宅敷地4,720万円+賃貸アパート2,000万円+貸家建付地4,000万円+死亡保険金3,000万円+生前贈与560万円
=4億4,280万円

(2)次に、相続税の基礎控除は、3,000万円+法定相続人の数×600万円ですが、前述の通り、本問における相続税法上の法定相続人は4人です。
よって、相続税の基礎控除=3,000万円+4人×600万円=5,400万円 となります。

よって、課税遺産総額=4億4,280万円−5,400万円=3億8,880万円 です。

相続税の計算は、課税遺産総額をそれぞれ法定相続分に分割し、分割後の金額に応じた税率で算出します。
本問の場合、法定相続人は配偶者・実子3人の計4人で、配偶者と子が相続人のとき、配偶者の相続分は2分の1、子の相続分は2分の1(子の人数分で分割)です。
妻Bの法定相続分の相続税 :3億8,880万円×1/2×40%−1,700 万円=6,076万円
長男Cの法定相続分の相続税:3億8,880万円×1/6×30%−700万円=1,244万円
二男Dの法定相続分の相続税:3億8,880万円×1/6×30%−700万円=1,244万円
三男Eの法定相続分の相続税:3億8,880万円×1/6×30%−700万円=1,244万円

従って、相続税の総額=6,076万円+1,244万円+1,244万円+1,244万円=9,808万円  です。

(3)相続税の納税義務者は、相続・遺贈(死因贈与を含む)により財産を取得した個人で、納付すべき相続税額の計算式は以下の通りです。
各相続人等の相続税=相続税の総額×各人の課税価格/課税価格の合計額

長男Cさんの課税価格は1億1,070万円、課税価格の合計額は4億4,280万円ですから、
9,808万円×(1億1,070万円/4億4,280万円)=2,452万円

ここで、相続開始前3年以内に贈与された財産は、相続税の課税価格に加算されますが、納付済みの贈与税相当額は、相続税額から控除して納税額を算出します。
また、暦年課税の贈与税の基礎控除は110万円で、18歳以上の子・孫が直系尊属から受けた贈与財産は特例贈与財産として、税率と控除が優遇されます(それ以外の贈与財産は一般贈与財産として課税)。
※成人年齢の引き上げに伴い、2022年4月以降の贈与では、特例贈与財産の対象となる受贈者の年齢が18歳以上となりました。
よって、長男Cさんが560万円の贈与を受けた際の贈与税は、以下の通りです。
(560 万円−110 万円)×20%−30万円=60万円

従って、長男Cさんの納付すべき相続税額=2,452万円−60 万円=2,392万円

以上により正解は、(1)4億4,280(万円) (2)9,808(万円) (3)2,392(万円)

問63          問65

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