問12 2012年9月基礎
問12 問題文
法人が次の契約形態の定期保険特約付養老保険(主契約と特約の保険料は区分されている)に加入した。この場合の保険料に係る経理処理に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
契約者(保険料負担者):法人
被保険者:全役員・全従業員
死亡保険金受取人:法人
満期保険金受取人:法人
1) 養老保険部分の支払保険料の額は,資産に計上し,定期保険部分の支払保険料の額は期間の経過に応じて損金の額に算入することができる。
2) 死亡保険金受取人を被保険者の遺族に変更した場合,変更後に支払う養老保険部分の保険料については,支払保険料の2分の1に相当する金額を,資産に計上し,残りの金額は期間の経過に応じて損金の額に算入することができる。
3) 定期保険に転換した場合,転換後契約の責任準備金への充当額を超えた転換前契約の資産計上額については,その転換した日の属する事業年度の益金の額に算入する。
4) 払済保険に変更した場合,変更時における解約返戻金相当額と資産計上額との差額を, その変更した日の属する事業年度の益金の額または損金の額に算入する。
問12 解答・解説
法人の生命保険の経理処理に関する問題です。
本問の契約では、全役員・従業員を被保険者とし、受取人が法人となっているため、定期保険特約付養老保険といっても、イメージとしては定期保険と養老保険をそれぞれ契約していることになります。
1) は、適切。法人契約の保険では、貯蓄性のある養老保険の支払保険料は資産計上され、掛捨てとなる定期保険の支払保険料は、期間の経過に応じて損金算入できます。
2) は、適切。法人が役員・従業員全員を被保険者とし、遺族を死亡保険金受取人、法人を満期保険金受取人とする養老保険の場合、支払保険料の2分の1は資産計上、残りの2分の1は保険期間の経過に応じて損金算入扱いとなります。
3) は、不適切。法人が加入している養老保険・定期付養老保険を他の養老保険・定期保険・定期付養老保険に転換した場合、転換前の資産計上額のうち、転換後契約の責任準備金への充当額を超えた部分については、転換した事業年度の損金に算入することができます。
転換の場合、加入していた養老保険で積み立てていた保険料の累積額が、転換後の保険料に充当されますので、転換後の責任準備金に充当される額=「転換後の契約による支払いに備えて積み立てられる金額」を超える金額は、転換時に損金算入されることになるわけです。
4) は、適切。法人が既に加入している生命保険を払済保険に変更した場合、変更時の解約返戻金相当額と資産計上額との差額は、変更した日の属する事業年度の益金・損金に算入します。
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