問30 2012年9月基礎
問30 問題文
株式を100%保有する関係にある内国法人の親法人と子法人間の取引において適用される税制(いわゆるグループ法人税制)に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
1) 子法人が保有する譲渡損益調整資産を親法人に対して時価で移転した場合の譲渡損益は, 親法人がその譲渡損益調整資産をグループ外の法人等に譲渡したとき,親法人において計上する。
2) 親法人が子法人に寄附を行った場合には,親法人においては,支払った寄附金が法人税法上全額損金不算入となり,子法人においては,受け取った寄附金が法人税法上全額益金不算入となる。
3) 子法人が親法人に現物分配を行った場合には,直前の帳簿価額により譲渡をしたものとされ,譲渡損益の計上が繰り延べられる。
4) 子法人が親法人に対して配当金を支出する場合,この受取配当金は,親法人においては負債利子控除をせずに全額益金不算入とすることができる。
問30 解答・解説
グループ法人税制に関する問題です。
1) は、不適切。譲渡損益調整対象資産とは、グループ法人間で取引された資産で、税務上その資産の譲渡損益の計上を繰り延べることとなっている資産(固定資産・土地・有価証券等)を指します。
グループ法人間での資産(帳簿価格1千万円以上)譲渡の損益は、税務上繰延べられますが、繰り延べられた損益は、その資産が譲渡等によりグループ外への移転した際に、当初にグループ内で資産を譲渡した法人において計上します。
つまり、本問では子会社が親会社に譲渡した時点では損益を繰り延べ、親会社がグループ外に譲渡した時点で、子会社の損益として計上されることになります。
2) は、適切。グループ法人間では、寄付金を支出した側は損金不算入、受領した側も益金不算入とされます。
3) は、適切。グループ法人間での現物分配(金銭以外の資産の交付)の損益は、直前の帳簿価額により譲渡をしたものとされ、税務上繰延べられます。
4) は、適切。グループ法人間での配当受取りは、負債利子控除せずに全額益金不算入とすることができます。
以前は子会社が親会社に配当する際、親会社が子会社の株式取得に要した負債の利子がある場合には、その株式相当部分が益金不算入の対象外(負債利子控除)となり、課税されていました。
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