問26 2012年9月基礎

問26 問題文と解答・解説

問26 問題文

居住者に係る所得税に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。なお,各選択肢において,記載された収入以外の収入は考慮しないものとし,他に必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。

1) 退職により支払われる退職金は,退職所得として申告分離課税扱いとなるが,確定給付企業年金から支払われる一時金で加入者の退職により支払われる給付金は,一時所得として総合課税扱いとなる。

2) 不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額(土地等の取得に要した借入金利子はない) は,申告分離課税扱いとなる土地建物等を譲渡したことによる所得と損益通算することができる。

3) 非上場株式(特定株式ではない)の譲渡損失は,申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得と損益通算し,なおも残った損失の金額は翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。

4) 譲渡所得のうち一定の貴金属の売戻し条件付売買の利益や,雑所得のうち定期積金の給付補てん金等については,源泉徴収(特別徴収)されるだけで課税関係が終了するため, 確定申告を要しない。

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問26 解答・解説

所得税に関する問題です。

1) は、不適切。退職金は退職所得として申告分離課税扱いとなりますが、確定給付型の企業年金の一時金も、退職所得とみなされ申告分離課税扱いとなります。
同様に、中退共の退職金や小規模企業共済の共済金・解約手当金、確定拠出年金の老齢給付金(一時金受取りの場合)も退職所得とみなされます。

2) は、不適切。不動産所得や事業所得といった、土地建物等の譲渡所得以外の所得の損失は、土地建物等の譲渡所得と損益通算できず、逆に土地建物等の譲渡所得の損失も、他の所得と損益通算でません(一定の居住用建物を除く)。

3) は、不適切。非上場株式の譲渡損失は、上場株式の譲渡益と損益通算できますが、申告分離課税を選択した配当所得とは損益通算できず、通算しきれなかった損失を翌年以降にわたって繰り越すこともできません。

4) は、適切。金投資口座の利益のように、貴金属などの売戻し条件付売買の利益や、定期積金の給付補てん金等は、金融類似商品による収益として一律20%(所得税15%、地方税5%)の源泉分離課税により、源泉徴収だけで課税関係が終了するため確定申告が不要です。
※定期積金の給付補てん金:定期積金は信金や農協等で取り扱われる積立型の金融商品で、給付補てん金は預金の利息に相当する(雑所得)。

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