問44 2012年9月基礎
問44 問題文
相続時精算課税制度(以下,「本制度」という)に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。
1) 本制度の適用対象となる受贈者は,贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の推定相続人であるため,年の途中で推定相続人となった者は,翌年から適用対象となる。
2) 父の死亡に際して,本制度により贈与を受けた財産を相続財産に加算して算出した相続税の課税価額の合計額が相続税の基礎控除以下であった場合でも,相続税の申告は必要となる。
3) 本制度の適用を受けた受贈者が特定贈与者よりも先に死亡した場合は,受贈者の相続人が受贈者の納税に係る権利・義務を承継するが,受贈者の相続人が特定贈与者本人である場合は,その特定贈与者は,当該納税に係る権利・義務を承継しない。
4) 本制度により贈与を受けた宅地のうち,特定贈与者の相続開始前3年以内に取得したものについては,その特定贈与者の相続に係る相続税の物納財産とすることができる。
問44 解答・解説
相続時精算課税に関する問題です。
1) は、不適切。相続時精算課税の適用要件は、贈与者は贈与年の1月1日時点で65歳以上の親、受贈者は贈与年の1月1日時点で20歳以上で、かつ贈与時に贈与者の子である推定相続人であることです。
つまり、贈与年の1月1日時点で20歳以上であれば、その時点で推定相続人でなかったとしても、贈与時に推定相続人となっていれば、適用対象となるわけです。
このため、例えば年の途中で孫が祖父の養子となって推定相続人となった場合、その時点からの贈与であれば、相続時精算課税の適用対象となります。
2) は、不適切。相続時精算課税の選択した場合、贈与者が死亡したときには、贈与された財産を相続財産に加算して相続税の計算を行いますが、相続税の基礎控除額以下であれば相続税の申告は不要です。
3) は、適切。特定贈与者とは、相続時精算課税制度を利用する贈与者のことですが、受贈者が特定贈与者よりも先に死亡した場合、相続人が受贈者の納税の権利・義務を承継するのに対し、相続人が特定贈与者本人の場合には、承継しません。
4) は、不適切。相続時精算課税制度を選択した場合、贈与された財産による物納はできません。
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