問46 2012年9月基礎
問46 問題文
平成24年に相続が開始した被相続人の財産内容等に関する次の記述のうち,法定相続人が1人で遺産に係る基礎控除額が6,000万円である場合に,財産を取得した相続人が相続税の申告を必要としないものはどれか。なお,各選択肢の財産の価額は相続税評価額とする。また,税額控除は考慮せず,相続時精算課税は選択しないものとする。
1) 相続開始時点の財産が金融資産5,500万円のみで,被相続人の生前に被相続人から相続人への財産の贈与はなく,被相続人の死亡によって相続人がみなし相続財産となる死亡保険金1,000万円を受け取った場合。
2) 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用により,宅地の評価を2,000万円減額した後の相続税の課税価格の合計額が5,000万円である場合。
3) 相続開始時点の財産は金融資産6,000万円のみであるが,平成22年に相続人が,被相続人からの初めての贈与となる現金2,000万円を受け,「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」の適用を非課税限度額まで受けていた場合。
4) 相続開始時点の財産は金融資産6,000万円のみであるが,平成23年に相続人が被相続人から現金100万円の贈与を受けていた場合。
問46 解答・解説
相続税の申告に関する問題です。
相続税の申告は、課税価格の合計が基礎控除以下であれば不要ですが、基礎控除を超えていても未成年者控除等の税額控除を適用し、税額ゼロの場合は申告不要です。
逆に配偶者の税額軽減措置(相続税の配偶者控除枠または配偶者の法定相続分のいずれか高い方までは非課税)や、小規模宅地等の特例、事業用資産の特例の適用によって基礎控除以下になるときは、申告が必要です。
1) は、申告不要です。みなし相続財産となる死亡保険金については、死亡退職金同様に法定相続人1人当り500万円の非課税枠があります。相続税を計算する際は、非課税枠を控除した上で、基礎控除を超えるかどうかで、申告の要否を判断します。
よって、死亡保険金が1,000万円で法定相続人が1人の場合、非課税枠(500万円×1人)を控除すると、残りは500万円で、相続開始時点の財産が5,500万円と合わせると、ちょうど6,000万円で基礎控除以内に納まるため、申告不要というわけです。
2) は、申告が必要です。小規模宅地の特例を適用する場合、課税価格の合計額が特例適用の結果基礎控除額以下であっても、申告が必要 です。
3) は、申告が必要です。直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度の適用を受けている場合、相続開始前3年以内に贈与された財産でも、非課税枠に相当する部分は、相続税の課税価格に加算する必要はありません。
従って、贈与を受けた住宅取得資金2,000万円のうち、非課税分1,500万円は加算せず、残りの500万円が相続税の課税価格に加算されるため、相続財産の合計が6,500万円と基礎控除を超えるため、申告が必要となります。
4) は、申告が必要です。相続開始前3年以内に贈与された財産は、相続税の課税価格に加算(贈与時の価額)されますので、生前贈与加算した上で、基礎控除を超える場合、相続税の申告が必要です。
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