問61 2012年9月応用
問61 問題文
甲土地および乙土地を一体とした土地において耐火建築物を建築する場合,次の(1)〜(2)に答えなさい。それぞれ計算過程を示し,答はu表示とすること。
(1) 建ぺい率の上限となる建築面積はいくらか。
(2) 容積率の上限となる延べ面積はいくらか。
問61 解答・解説
建築面積と延べ面積の上限に関する問題です。
まず、幅員3mの市道は「建築基準法第42条第2項で規定する道路」とありますが、これは都市計画区域にある幅4m未満の道で、建築基準法上の道路とみなしているもの(2項道路)です。
2項道路の中心線から2m後退した線が、道路との境界線とみなされるため、周辺の建物を建て直すときは、この境界線まで下がって立て直す(セットバック)必要があります。
また、みなし道路境界線と道までの部分(セットバック部分)は、容積率や建ぺい率の計算の際、敷地面積に算入されません。
セットバックで後退する距離は、現在の道路幅に対して、4mに足りない分の幅員の2分の1です。
本問の場合、幅員3mですから、セットバックした場合の後退距離は、
(4m−3m)÷2=0.5m
よって、
第一種中高層住居専用地域の面積=300u−(後退距離0.5m×間口20m)=290u
また、商業地域部分の面積=甲土地200u+乙土地100u=300u
ここで、防火規制がそれぞれ異なる土地にまたがっている場合、もっとも厳しい規制が課されますので、この場合は全て防火地域扱いとなります。
防火地域で耐火建築物を建築する場合、10%の建ぺい率緩和を受けられるため、第一種中高層住居専用地域部分の建ぺい率=60%+10%となります。
さらに、指定建ぺい率80%の防火地域内に耐火建築物を建てる場合、建ぺい率に制限がなくなるため、商業地域部分の建ぺい率=100%となります。
建築面積の上限の計算式は、以下のとおりですので、
建築面積の上限=(各土地の面積×各土地の建ぺい率)の総和
第1種中高層住居専用地域部分=290u×(60%+10%)=203u
商業地域部分=300u×100%=300u
よって、(1)建築面積の上限=203u+300u=503u
次に、容積率は、前面道路の幅が12m未満の場合に、用途地域によって制限されます。
住居系用途地域の場合……前面道路幅×4/10
その他の用途地域の場合…前面道路幅×6/10
この計算式結果と指定容積率を比べて、小さいほうが容積率の上限です。
問題文では道路が10mと3mの2つありますが、このような場合は広いほうの道路幅を前面道路とすることができます。
よって第1種中高層住居専用地域部分の容積率は、前面道路が10mですので、
10m×4/10=400% > 指定容積率200%。よって第1種中高層住居専用地域部分の容積率は200%。
次に商業地域部分の容積率は、前面道路が10mですので、
10m×6/10=600% > 指定容積率400%。よって商業地域部分の容積率は400%。
延べ面積の上限の計算式は、以下のとおりですので、
延べ面積の上限=(各土地の面積×各土地の容積率)の総和
第1種中高層住居専用地域部分=290u×200%=580u
商業地域部分=300u×400%=1,200u
よって、(2)延べ面積の上限=580u+1,200u=1,780u
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