問49 2012年9月基礎
問49 問題文
Aさんは,夫の転勤により家族3人(子は1人)で東京都近郊のX市の賃貸マンションに引っ越して4年になる。Aさんの実父Bさんは,数年前に妻に先立たれた後も,X市に隣接するY市にある自宅(土地・建物ともにBさん所有)で一人暮らしをしているが,最
近急に,足腰が悪くなり介護が必要となった。
AさんがBさん所有の自宅土地建物を相続により取得した場合に,取得した土地が特定居住用宅地等として「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けられるケースとして,最も不適切なものはどれか。なお,Bさんの相続人はAさんのみであり,ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
1) Aさんは,Bさんが入居を希望する老人ホームの空きが出るまで,その間はとりあえずBさんの自宅でBさんを介護することにした。Aさんは介護ヘルパーの助けも得ながら,必要に応じてBさんの自宅に泊まってBさんを介護した。Bさんは半年後死亡したが,Bさんの死亡後,AさんはX市の賃貸マンションに戻って暮らしており,Bさんの自宅は空き家のままである。
2) Aさんは,夫と子にもBさんの介護に協力してもらうために,BさんをAさんが住む賃貸マンションに呼び寄せて,介護することにした。Bさんの自宅は空き家となったが,Bさんがいつでも元の生活に戻れるように,AさんがBさんの自宅の維持管理をすることにした。Bさんは半年後死亡したが,その後もAさんは空き家になったままのBさんの自宅の維持管理を続けている。
3) Bさんは,Aさんの手を煩わせることのないように,自分で希望して終身型の老人ホームに入居することにした。Bさんの自宅は空き家となったが,Bさんがいつでも元の生活に戻れるように,Bさんの自宅の維持管理をAさんに依頼した。Bさんは半年後死亡し,その後1年以上経つが,AさんはBさんの自宅の維持管理を続けている。
4) Aさんは,夫やBさんと相談して,Bさんの自宅をバリアフリー住宅に改築した。Bさんは改築後,何とか一人暮らしを続けていたが,1年経って自宅で死亡した。Bさんが亡くなって半年後から,Bさんの友人からの申し出により,Bさんの自宅をBさんの友人に賃貸している。
問49 解答・解説
小規模宅地の特例に関する問題です。
小規模宅地の特例では、特定居住用宅地は240uを上限に、80%減額となります。
ただし、配偶者以外が取得する場合には、取得する別居親族は、相続開始前3年以内に自宅を所有していないことと、相続開始からの申告期限まで継続保有すること等が必要です。
(同居親族の場合は、申告期限まで継続居住・保有が必要)
本問では、父Bさんは一人暮らしですから、娘のAさんは別居親族ですが、4年前から賃貸住まい(自宅所有無し)です。
また、2)、3)では父Bさんは介護のため自宅から「転居」していますが、以下1.〜4.の条件に該当する場合には、小規模宅地の特例が適用されます。
1. 被相続人が介護を受けるために老人ホームへ入所(特養ホーム含む)したこと。
2. 被相続人がいつでも生活できるような自宅の維持管理が実施されていたこと。
3. 被相続人の入所後、自宅を他者の居住用やその他の用途に供していないこと。
4. その老人ホームが、被相続人が入所するために、被相続人自身や親族によって所有権や終身利用権を取得されたものでないこと。
1) は、適切。Aさんは4年前から賃貸住宅住まいであり、Bさんの死亡後Bさん宅を空き家として継続保有していることから、小規模宅地の特例が適用されます。
(AさんはBさん宅でBさんを介護していましたが、必要に応じて宿泊しただけで、毎日寝起きを共にしていたわけでないため、同居親族ではありません)
2) は、適切。AさんはBさんをAさんの自宅に呼び寄せて介護しており、Bさんの自宅は空き家となったものの、被相続人がいつでも生活できる自宅の維持管理を行っていましたので、「相続開始直前に被相続人の居住の用に供されていた宅地等(特定居住用宅地)」に該当し、小規模宅地の特例が適用されます。
本問は老人ホームへの入所ではありませんが、介護のための転居・自宅の維持管理実施・自宅を他者の居住用やその他の用途に供していない・転居先は賃貸で所有権や終身利用権の取得なし、と要件を満たしおり、特例適用の対象といえます。
3) は、不適切。Aさんは4年前から賃貸住まいであり、Bさんの死亡後Bさん宅を空き家として継続保有しています。またBさんは介護を受けるために老人ホームに入所し、自宅の維持管理も実施されていましたが、老人ホームは終身型でした。
「Bさんが自分で希望して終身型の老人ホームに入居」とありますので、「被相続人が入所するために、被相続人自身や親族によって所有権や終身利用権を取得されたものでないこと。」に該当せず、小規模宅の特例は適用されません。
終身型の老人ホームは、死亡するまで入居できる老人ホームであり、入居時に終身利用権を購入するため、もとの自宅は「相続開始直前に被相続人の居住の用に供されていた宅地等(特定居住用宅地)」には該当しないとされるわけですね。
4) は、適切。Aさんは4年前から賃貸住まいであり、Bさんの死亡後Bさん宅を賃貸住宅としたものの、宅地として継続保有しているため、小規模宅地の特例が適用されます。
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